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野村萬斎主演『藪原検校』稽古場レポート

この日の稽古場では、だいたい物語の中盤をカンパニーがあたっていた。可動式の傾斜舞台に、張り巡らされた赤い綱。ここに、つつっと水色の綱が渡され、それだけで鮮やかに阿武隈川の場面が出来上がる。物語は、盲太夫を筆頭に、座頭(これも盲人位のひとつである)たちが物語の登場人物たちに扮し、伝えていく形式をとる。シンプルなビジュアルからは、想像力を働かせる演劇的面白さが生まれるとともに、盲人たちが語るがゆえの効果...つまり視覚的要素は極力小さくするという、演出・栗山民也の明確な意思が伝わってくる。
 
対して、聴覚的効果は豊かだ。津軽三味線を思わせるギターの激しい音色。井上戯曲らしく全編に盛り込まれた劇中歌は時に民謡のように、時にフォークソングのように。そして盲人たちが手にする杖が床を叩く音、さらには俳優たちがすべて口で発する擬音の数々が重なっていく。それは、音のみを頼りに生きた杉の市が体感していた世界だ。中でも東北から江戸にやってきた杉の市が日本橋に到着したシーンが圧巻。威勢よく魚に馬具といった様々なものを売る商人の声、晒し場の囚人の声、鐘楼の音、役人が金棒で地べたを叩く音...。俳優たちが声だけで日本橋の風景を作り上げる。栗山も、俳優たちに細かく演出をつける。曰く、音の切り方に余韻を持たせてほしい、今のではオモシロすぎる、ここは杉の市のセリフにかぶせるように、等々...。「朝の活気のある日本橋にしたい」という栗山の言葉どおり、少しずつ、声の集合体が華やかな江戸の朝を作り出していく。


さて、主人公・杉の市に扮する野村萬斎。リズミカルな井上戯曲をなめらかな口跡で聞かせていて、気持ちが良い。また音の高低で上っ面の言葉とどす黒い本音を語り分けていくのも、鮮やかな印象を与える。表情にも杉の市の外道さがにじみ出ていて面白いほどなのだが、このあたりは実際に本番の舞台でのお楽しみにして欲しい。また道を転げ落ちるように殺人を重ねていく杉の市、この日の稽古でもそのなかのワンシーンがあったが、歌舞伎の殺し場にも通じるような様式美と陰惨さがあり、そのドラマチックさを出せるのは伝統芸能の場に主軸を置くこの人ならではだろう。理不尽なほどに非道な人物だが、目をそらすのではなく、なぜかこの人の行く道をこの目で確かめたい、そんな気持ちにさせられる魅力があるのだ。
ほかにも語り部的立ち位置である盲太夫を演じる山西惇が長ゼリフをテンポ良く時に講談のように時に数え歌のように朗じていく様などが面白く、本番への期待感が大いに高まった稽古場だった。
公演は2月23日(月)より、東京・世田谷パブリックシアターで開幕する。

 
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