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野村萬斎+中越典子、井上ひさし「藪原検校」再演 生きるとは、問う

 狂言師の野村萬斎(48)が盲目の大悪党を演じる「藪原検校(やぶはらけんぎょう)」で、3年ぶりの再演に挑む。江戸時代の階級社会の闇を描いた井上ひさしの傑作で、演出は前回に続き、栗山民也。キャストは一部入れ替わり、新たに中越(なかごし)典子(35)らが加わる。悪事を尽くして盲人界の最高位にのし上がる主人公、杉の市の一生を、萬斎は狂言師として培った技も生かして演じ、「生きることを考える芝居になる」と話す。(藤沢志穂子)

 「藪原検校」は、盲目で生まれた杉の市が強盗や殺人など悪事を尽くして盲人界の最高位「検校」襲名披露の直前に捕らえられ、28歳で処刑されるまでの短い一生を描く。

 萬斎は「50歳になる前にもう一度演じたかった。杉の市の生き急ぐ凝縮された28年の人生に50年くらいの厚みがある気がした。60歳になったら(体力的に)無理なので、今のうちにと考えた」

 杉の市は実母を殺し、師匠を、その妻で自分の愛人、お市(中越)と共謀して殺すなど悪事を尽くす。晴眼者と対等になるには金をかき集め、「検校」になるしかないと考えたためだ。動きはハードで、「前回の公演中、体脂肪は7%台まで落ちた。恐らく今回も」と、萬斎は笑う。

これまでに萬斎は、親殺しも登場するギリシャ悲劇「オイディプス王」や、怪奇な容貌で残忍な行為を繰り返しながら上り詰めていく男を描いたシェークスピアの「リチャード三世」の翻案「国盗人(くにぬすびと)」を演じた。藪原検校にはこれらの作品の要素もあり、「経験が役に立っている」という。

 狂言の技では、杉の市が奧浄瑠璃のパロディー「早物語」を披露する場面が見どころの一つだ。「いろんな音をのばして縮めて、という技術が狂言にある。芸達者の世界を描くのが僕の中の近似値でもある」

 杉の市の悪事には、自分の現状について社会に恨みを持ち、金や性への執着など人間の本質的な欲求を代弁している側面がある。観客には爽快感さえ伝わるが、最後は弱者がいけにえになるかのように見せしめとして処刑される。井上ひさしは、物語を痛快なピカレスク(悪漢物語)として見せ、最後に厳しい現実を突きつけたようにも見える。

 「現代にも通じるものはあるでしょうね。そこが作品にスケールの大きさを与えている。生命力が強く、生きることを考える芝居。陰惨だけどチャーミングに演じたい」と言う。

 中越は以前、井上ひさしの傑作の一つで、栗山が演出した舞台「頭痛肩こり樋口一葉」に感銘を受け、井上と栗山による舞台への出演を熱望していた。

お市は前回、秋山菜津子が情念たっぷりに演じた。中越はあえて前作の映像を見ず、フレッシュなお市像をつくろうとしている。「杉の市が『初恋の人』。女性はまず、悪い人にひかれるから。色気と生命力が魅力だったのでしょう」

 終盤では病に侵されて身を持ち崩す。「キラキラした初恋がドロドロになって、執念深いし、色っぽさも出てくる。でも、少女の初恋は永遠に生きて杉の市をいちずに愛する。そんな姿を出したい」と目を輝かす。

 

 
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