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野村萬斎 花柄シャツをおしゃれに着こなす狂言師

 今冬、この人の名前が思わぬところで注目を集めた。フィギュアスケートの羽生結弦選手が世界最高得点をマークしたフリーのプログラムは、野村萬斎主演の映画「陰陽師(おんみょうじ)」の曲。和のテイストを取り入れた振り付けには、萬斎のアドバイスが生かされたという。

 「日本の伝統芸能の動きやあり方、場の支配のしかた、空間や時間の概念などをお話ししました」

 古典芸能の才人と、フィギュアの“絶対王者”が出会い、世界の舞台で披露された究極の技。伝統芸能の新たな扉を開くとき、そこには必ずといっていいほど、野村萬斎がいる。

 「こういう仕事をしていると、日本のアイデンティティーとは何かを考えさせられますね」

 細面の知的な顔立ちに、ときどき愉快そうな笑みが浮かぶ。若いときから狂言界のスターとして、つねに注目の存在であった。

 「僕も来年、50歳ですよ」と笑うが、伊トップブランドの花柄シャツをおしゃれに着こなす50歳は、なかなかいない。

 父は今秋、文化功労者に選ばれた人間国宝の野村万作。その背中を追って走り続けてきた。


「父の教えは、狂言が喜劇であっても『まず、美しく』です。『次に、おもしろく、最後におかしく』。僕も笑いの芸術は究極、美を追求することなんじゃないかと思っています」

 2人の芸に共通するのは、笑いのなかに知性が感じられることだ。そこに人間喜劇を演じ、人間の存在そのものを追求する無限の深さがある。

 「ただ、僕の方が理屈っぽい。父は職人気質(かたぎ)に徹するところがありますが、僕はまず、ごちゃごちゃ言う。それは僕の方が発想が豊かだから(笑)。でも、現代においてはその両方が必要なんだろうなと思う」

 万作の代名詞ともいえる曲に「釣狐(つりぎつね)」がある。老狐の業や哀しみを描いた大曲だ。同じ「釣狐」を演じた萬斎には、獣性に潜む悲哀の中に何ともいえない軽みが見えた。

 1月26、27日、大阪・サンケイホールブリーゼで「万作萬斎新春狂言2016」が開催される。


萬斎が演じるのは、申年にちなんだ「猿聟(さるむこ)」。登場するのは全員、さる。嵐山に住む舅(しゅうと)猿のところに、大和三吉野の聟猿が「聟入りの式」のためやってくる。やがて酒宴となり、謡や舞を披露し合う。せりふはほとんど「キャーキャー」という荒唐無稽な作品だ。

 「狂言では、さるも蚊もキノコも平等に扱われる。森羅万象を飲み込む懐の深さを感じますね」

 そう言ってからふと「こういうところが理屈っぽいのかな」とニヤリと笑った。

 文・亀岡典子

 のむら・まんさい 昭和41年、東京生まれ。東京芸術大卒。3歳のとき、「靱猿(うつぼざる)」の子猿で初舞台。平成6年、野村萬斎を襲名。芸術選奨文部科学大臣新人賞、文化庁芸術祭優秀賞など受賞多数。「万作萬斎新春狂言2016」は、1月26日午後7時、27日午後1時、大阪・桜橋のサンケイホールブリーゼで。問い合わせはブリーゼチケットセンター(電)06・6341・8888。



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